butasan-ot’s diary

当事者と作業療法(OT)の視点で少しでもお役に立てることを届けていきます。

コラボ企画②: 医療的ケア児・者の支援に関するアンケートの報告

今回は、Seiji-loveさんとのコラボ企画第2弾!

以前SNSを通して

医療的ケア児・者の支援に関するアンケート

を実施させていただき、その結果について簡単にご報告させていただきます。

 

*なお、本報告に関してはアンケートへご協力いただいた方々から、同意を得ております。

 

前回のコラボ企画記事

コラボ企画①:自分の原点とは何だろう? - butasan-ot’s diary

 

ぶたんさんOTとSeiji-loveさんによる活動の概要についてはこちらの記事をご覧ください。

医療的ケア児支援法を考える(1) | 大須賀一樹のオフィシャルブログ

 

 

【目次】

1.結果

 ①概要

 ②医療的ケア児者に関する認識

 ③医療的ケア児者の支援に関する現状

 ④医療的ケア児者の支援に関する連携

 ⑤今後の課題

 ⑥その他

2.アンケートから考える我々の意見

3.まとめ

 

【アンケート結果】

1. 概要

①概要

・アンケート形式と募集方法:Googleフォームを使用し、SNSを通じて募集

・回収機関:2021年10月20日~11月13日

・回収件数:10件

 

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➡アンケートにご協力頂いた方の多くは、医療従事者や障害児支援施設などの福祉職の方でした。

 

②医療的ケア児者に関する認識

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➡多くの方は「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行(2021年9月)される前から「医療的ケア児」について知っていたそうです。

 

■ 設問5.支援でよかったこと・困ったこと

<よかったこと>

「初めはどうしたら良いかわからず不安でしたが、少しずつ彼ら、彼女らの気持ちがなんとなくわかるようになってきたこと」

 

<困ったこと>

「利用児、個々に対してどこまで対応して良いかの判断迷います。」

「成人となった際にサービスの質・量ともに減少し、選択肢も狭まる印象を受けています」

「支援学校卒後の受け皿が少ない」

 

➡よかった点の意見よりも困っていることの意見が多く聞かれました。支援者側も試行錯誤しながら携わっているようです。

 

③医療的ケア児者の支援に関する現状

f:id:butasan-ot:20211220150525p:plain➡不足している支援としては、「福祉」「教育」「制度」といった、国際生活機能分類ICF)の概念でいう、活動参加といった生活に関わるニーズが多いようです。

 

なお、ICFについては厚生労働省の資料をご覧ください

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

 

f:id:butasan-ot:20211220150614p:plain*あまり出来ていない・全く出来ていないと回答した方の意見

 

「私も含めてですが、知識のある専門スタッフが少ないと思います」

「日々の対応で手一杯で、ご家族の満足度につながっていない」

「モニター、吸引、呼吸器などその方にとって必要な機器や行為を見る・関わる機会が 少なく、医ケア児・者と関わる際には緊張してしまう。リスク管理はとても大事なこと であるが、本人が楽しめることよりリスクのことを1番に考えてしまうため、自分が安 心安全に行えることをしてしまう傾向がある」

 

➡あまり支援が出来ていないと回答されて方々は、人的課題があるとの認識のようです。

 

④医療的ケア児者の支援に関する連携

■ 設問10.医療的ケア児者への支援における多職種連携の必要性

「必要なのに足りないと思います。それぞれがマンパワーで動いているような」」

「絶対に必要。一つの職種ではできない。」

「連携も大事だが、その前に医療的ケアに関する知識の底上げが大事かと思う」

「医ケア児はケア内容が多い分、より詳細な情報共有が必要と考える。」

「また、医ケア児には重症心身障害児が多く含まれており、本人の意向を確認することが難しく当事者が置き去りにされた支援となる危険もある。普段関わってよく理解している家族や医療スタッフを中心に情報共有し、当事者(家族)中心の支援を目指す必要がある」

「限られた範囲だけでなく、できるかぎる社会参加ができるよう、医療だけでなくさまざまな職種が関わりが必要」

「各職種の強みを活かしお互いの意見を尊重することで、その時にしかできない経験を提供できるのではないか。」

 

➡これは回答された方々が必要だと感じており、更にそのために必要な具体案まで考えて下さっていました。

 

⑤今後の課題

f:id:butasan-ot:20211220150012p:plain今後の課題としては、全員が多職種連携と答えていました、

また、その他の支援に関しても概ね多く方が必要と回答していました。

 

⑥その他

「地域差はありますが支援は探せば見つかる時代になっている気がします。」

「その場その場といいますか、児の将来を一緒に考えながら介入できる支援者(多職種)が圧倒的に少ないと思います。」

「このアンケートから取り組みが動き、少しずつ利用児・者や保護者等への支援強化、安心に繋がればと思います。がんばりましょう、協力出来ることは致します。」

「まだまだ必要なことは多いです。保護者にとっても必要なものサービスがあるはずだし、それがあることに気づいていない方もいるかと思います。」

「私にも何か協力できることがあれば、ぜひお声がけください。」

 

➡みなさんからの暖かい声を頂き大変うれしく思います。

 

3. アンケートから考える我々の意見】

回答者の多くは支援ができていると感じている

一方で、

連携制度(制度の整備や情報のわかりにくさ)、人材マンパワーや知識など)が不足していること、 

 

また当事者、特に受賞度が高いお子さんとのコミュニケーションや高等学校卒業後の社会参加の場や支援が不足していることが課題となっていることが考えられます。

 

このように、支援ができていると思う反面、答えのない支援に対して支援者は不安や葛藤を抱えているように見受けられます。

 

施行された医療的ケア児やその家族を支援する法律が、当事者の方々へしっかりと届き、支援に活かされるためにも、社会が医療的ケアを必要とする方々への関心を持ち、地域社会で支えていけるように、物理的環境だけではなく人的環境も整えていく必要があると思います。

 

そのためにも、まずは身近にどんなことが医療的ケア児には起きているのか、また我々が感じたことを発信しながら、支援者に成り得る多くの方々に医療的ケア児について関心を持ってもらい、支援者や当事者の方々が想いを共有し、少しでも地域社会でその人らしく一緒に暮らしていけるような活動を行っていきたいと想います。

 

まとめ

今回のアンケートを通じて、ごく一部の方々のご意見ではありますが医療的ケア児者を取り巻く現状を把握することができました。

 

ご意見の中でも、暖かいコメントを頂きました。

 

急にはいろいろなことは出来ませんが、少しずつできることから活動していければと思いますので、皆様、今後もどうぞよろしくお願い致します。

 

 

それでは