butasan-ot’s diary

当事者と作業療法(OT)の視点で少しでもお役に立てることを届けていきます。

作業療法と作品作り

最近は作業療法場面で

木工やペーパークラフト、革細工など

いわゆる、手工芸による作品作りといった作業を提供することが増えた。

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そんな、何かを作って形にしていく作業のことについて、

ちょっとナラティブベースなお話をしてみる。

 

とある作業療法でのこと。

 

入院されていたクライアントの方。

 

何に対しても

「できないのよね」「痛いのよね」

とよく話される。

 

 

リハビリテーションは進み、身体機能が少しずつ回復してきていた。

 

でも訴えは変わらず

「できないのよね」

「痛いのよね」

とよく話される。

 

昔のお話をお聞きする。

でも、すぐには思い出せないようだった。

 

分かりやすくするために

ADOCや興味関心チェックリスト

という作業療法でよく使われる作業に関する評価ツールを使ってみる。

 

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*ADOCについては

↓↓↓

ADOC | 作業療法士とリハビリ患者のためのiPadアプリ

 

*興味関心チェックリストについては

MTDLPシートのダウンロード|日本作業療法士協会

 

それにより

クライアントの方は

「絵を描くのが好きね」

「社交ダンスをしてた。ブルースとかタンゴとか」

と教えてくれる。

 

その人らしい生活を主体的に送れるようにダンスに誘ってみる。

 

でも

「できないわよ」

と話される。

 

僕に教えて下さいと頼んでみる。

すると、

「できあにわよ」

と言いながら踊り始める。

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周りの人が驚いたように見て、声を掛けてくれる。

 

クライアントの方は照れながら、少しぎこちなく踊りを僕と続ける。

 

とある別の日に水彩画を提案してみる。

「やりたいわ」

とウキウキされながらとりかかる。

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僕は小さい頃に絵画教室に通っていたが、こんなに鮮やかに味のある絵は描けない

僕はその彩りに魅了される。

 

他のスタッフや入院されている方も声をかける。

 

クライアントの方は喜んで話をされる。

 

 

「痛いわ」

「できないわ」

は聞かれることは少なくなった。

 

そこには

確かにクライアントの方がいる。

作品作りという作業を通じて、今の身体と生きている。

 

クライアントの方の生活の一部となっていく。

 

心も身体も自ら動いていく。

 

とある作業療法の出来事。

 

ここには作業療法のいろんな理論や手法を用いたけど、

そんなことはひとまず置いておこう。

 

それでは、ぶ~ん♪