第6回 日本臨床作業療法学会 その2
またまた、時間が経ってしまいましたが、
日本臨床作業療法学会(その2)について振り返ります。
その1では、創造するための破壊のはなにかというお話が多かったですが、
その2では、破壊したあとの創造するためのモデルや理論についてがメインになっています。
うまくできてますねwww
*そのの記事は以下よりご覧ください
目次
[1、シンポジウム:諸行無常]
[2、臨床参加型実習]
[3、行動遠洋によるcreative destruction]
1、諸行無常
テーマが諸行無情
そもそも諸行無常とはなにか?
諸行無常(しょぎょうむじょう)は、仏教用語で、この世の現実存在(森羅万象)はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう。「諸行」とは因縁によって起こるこの世の現象(サンカーラ)を指し、「無常」とは一切は常に変化し、不変のものはない(アニッチャ)という意味。三法印、四法印のひとつ。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%B8%E8%A1%8C%E7%84%A1%E5%B8%B8:より引用
誰も坊さんのようになれとは伝えている訳ではなく、
常に変化し、チャレンジすることの必要性を3名のシンポジストの方々は伝えていました。
まずは、
株式会社いきいきクリエーションの田村浩介さんのお話。
田村さんは仕事の途中でうつ病になられたそうです。
この当事者の立場になってから気がつかれた、視点からその行動をさらに加速させていました。
支援者が必ずしもが当事者になるという体験をするわけではありません。
でも、支援者が当事者(クライアント)の想いに近づけなければ、本当の意味でうライアント中心のリハビリテーションというものは提供しにくいのではないでしょうか?
そのためには、どれだけクライアントのことを想像出来るかが重要だと思います。
だからこそ、当事者の声を聞ける機会は貴重であり、発信することでの影響力があります。
具体的な取り組みは
・生きがいライフプラン:問診表、本人の語りから作成。
・事業所で理念と行動指針の研修を行っている。
・うつ病からの経験で「やりたいことをやる」ということをし始めた。
このやりたいことをやるという信念が、クライアントも支援者もいきいきとしたコミュニティーへ発展していかれたと感じました。
行動力の現れでした。
こどもの頃のご自身の苦悩から、大人になっても悩まれていた。
あるきっかけでOTという仕事と出会い、その時の苦悩の理由が分かった。
この発見が山口さんお子さんやご家族に対する志を作り、多くのイノベーションを起こしているのだと感じた。
京セラの稲盛和夫氏の仕事、人生に対する哲学を多く感じられる。
そして、それを実行し、結果を残している。
やはり大切なのは、自分を奮い立たせる情熱や信念なのだと再認識させられました。
・OBPの街づくり~障害を持った人が移り住自宅成りたい街へ~
・すべての人にはGIFTがある。
心が震えます。本当。
最後は、大会長のID-Labの建木健さんのお話。
まず冒頭の問いかけの
「私たちは変化できているのだろうか?AIに支配されていないだろうか?」
「固有の価値がなくなってきているのではないか?」
そこからあじまります。
why(価値)、
what(ゴール)
how(手段)
を段階的に考え、実行する。
特にwhyの重要性を話して下さっていた。
どれだけ素晴らしい方法や手段があっても、何のために行動するのか?(価値)?
が、定まっていなかったら、その行動は形にならない。
この事は、臨床だけでなく、企画や自分の人生にも通じるものだと思う。
シンポジウムの冒頭で建木先生が話していた
「先人たちの肩の上に乗り、常に作業療法は変わっていけているのだろうか?」
という問い。
私たち、作業療法士は先人たちが作り上げてきた実証という実績を用いながら、常に新しい景色を見て、進んで行くものだと感じられました。
2、臨床参加型実習
臨床実習については、ここ数年でクリニカル・クラークシップ(CCS)という、指導法が注目され始めています。
実際、養成校からもCCSでお願いしますと依頼を受けることが増えてきました。
今までは、個人の経験ベースで卒前・後教育が行われていましたが、やはりこのように理論に基づき、検証された教育方法が必要だと思います。
今回、お話して下さった小樽再生会病院の三崎一彦さんは教育に対する熱い信念と情熱をお持ちの作業療法士さんです。
その中でのお話では、
・実習で得たことは修飾語の施設、環境で方針が変わるなどがある。→いかにアクティブラーニングを身に着けられるかが重要(自己教育力)
・自己教育力=自己指導型学習を身に着けることが重要。
・文科省ではアクティブラーナーを育てることが求められている。
・人間性、知識及び技術、思考力・判断力・表現力を身につけていく。
身につけていくことの必要性をお伝えしていました。
よく臨床ではCSは考えなくなる、意味があるのか?
と話題になります。
しかし、このような方々が方法論ではなくいかにCCSの理論を理解しているかということがポイントだと思います。
現状では、CCSを説明できる人は12%(2015年、松雑)とのことです。
つまり、まだまだ私たちはよりよい教育について知らないということでしょう。
まぁ、養成校でもやってこなかったですもんね。
そりゃあ今まで自分が受けてきた従来型を信じてやるでしょうよwwt
いかに、過去を一度0ベースにdestructionして、再考できるかかま教育分野においても問われているのだと思います。
そのための方法として
・自己教育力尺度やSDLRSを自己教育力の評価を実習生に実習最初と習慣、最終でとる。
・学び方を教える(文献検索方法やまとめ方など)
など、実際の取り組みを交えて提案されていました。
個人としては、CCSの考え方は多くのことに応用できると思います。
ぜひ、一度学んでみるとよいかと思います。
START+というZOOMを使ったネットでの講義などもあります。
中川法一先生のセラピスト教育のためのクリニカルクラークシップのすすめ第三版もでました。
ご自身がとっかかりやすいところから学んでみてはいかがでしょうか?
3、行動変容によるcreative destruction~クライアンとも、療法士も、自分らしく生きていくために~
最後は、北里大学の高橋佳代子教授による行動変容の話。
destructionをしたあとにどう行動していくか?
そのヒントを理論と脳性麻痺がある利用者さんとの臨床での経験を基に話してくれました。
大きく2つ
・自己効力感
・しなやかさ(レジリエンス)
この2つは行動し続けていくために必要な要素です。
自己効力感は、
「出来ている」という認識であり、行動へのエネルギーになる。
クライアントもそうだか、セラピストや家族など支援者に必要な要素です。
この、エネルギーとワクワク感(報酬期待)が掛け合わせることで、行動(行動変容)が生まれてきます。
自己効力感を作るためには「できた!」という体験が重要。
できたという体験を支援するために、やりたい作業をクライアントに合わせた作業の形態を調整します。
主に
・難易度調整
・環境調整
になります。
これは、作業療法士が得意とするアプローチです。
そこから行動変容が生じます。
いかに、クライアント、私たちの「やりたいこと(作業)」をできるかが腕の見せ所。
そうすれば、どんどん行動は加速度的に変わっていくでしょう。
しかし、行動を起こせば、トライしても何かしらでエラーがでます。
その時に大切なのが「しなやかさ(レジリエンス)」。
「回復力」「復元力」または「弾力性」とも訳され、ストレスと言った外的な刺激に対する柔軟性を表す言葉。
クライアントも支援者も、失敗しても折れないで戻ってこれる力が必要になのです。
お話の中で改めて、考えさせられたのが、
「クライアントの作業で輝くのは人生の中でのひと時である」
という言葉です。
作業療法士はその支援に作業に焦点を当てた実践を行います。
しかし、それにお副作用があることも念頭に置かなければ、時間軸の中で、点の支援になってしまうことも理解しておかなければならないです。
そのためには、高橋先生がおっしゃられる「しなやかさ(レジリエンス)」が重要。
倒れないこころはストレスがたまりいつか折れる。だかろこそ上手に倒れて戻ってこれるしなやかさが必要なんですね。
作業療法士の山根寛先生の言葉で「失敗を失敗で終わらせない。上手な失敗体験を積むことが大切」
とあります。
失敗したときに一緒に考えてどれだけ解決できるかが大切。
そのためのポイントととして人―環境ー作業モデルを活用するとよいかもしれません。
このように、根っこをはり(自己効力感)、しなやかに(上手に失敗する)生きていけるように支援するのが作業療法であり、
クライアントも支援者も、自分らしく生きていくためのポイントになるのだと感じました。
おわり
今年も「作業療法」の知見を多く学べました。
特に近年は研究の視点も多く。作業療法の科学的証明が盛んになってきていると改めて実感てまきました。
「研究は自分には関係ない」ではなく、臨床を実証し、よりCREATIVEな挑戦とクライアントへの還元をしていくために、臨床も研究も欠かすことはできません。
世の中に取り残されないようにトライ&エラーしていきたいですね。
でわでわ♪